歯科医院で行うボツリヌス療法とは
歯ぎしりやくいしばりなど咀嚼筋(咬む筋肉など)が過緊張することで習慣性に強く咬む癖があると、咀嚼筋の働き過ぎが
原因となって様々な症状が生じます。
その筋肉の動きを弱めて力のコントロールをし、歯や顎、お口に関する様々な問題を改善する治療法です。
ボツリヌス菌が産生するボツリヌストキシンと呼ばれるタンパク質成分の薬を、咀嚼筋などの筋肉内に注入することで一時的に筋肉の働きを弱めます。
歯科医院におけるボツリヌス療法は、美容整形の治療のように外見を改善するのとは異なり、診査・診断を行ったうえで医療としての治療としておこなうものです。
こんな方におすすめ
- 顎が痛い
- 歯ぎしりや食いしばりがある
- 歯や詰め物がよく欠ける
- マウスピースの減りが早い
- 頭痛や肩こり、首のこりがある
- 口元の梅干しシワが気になる
当院のボツリヌス治療の特徴と効果
- 当院では歯科で使用されていることの多いボツラックスを使用しています。
- 主に咬筋への注射で咬合力の緩和を図っています。
- 口元の筋の緊張が強く、梅干し皺ができる方にはオトガイ筋(顎先)への注射も行います。
歯科で行うボツリヌス療法のメリット
- 歯ぎしり・くいしばりの緩和
- 歯ぎしりやくいしばりで起こる、頭痛や肩こりの緩和
- 歯ぎしりやくいしばりによる知覚過敏や顎関節症状の緩和
- 歯の割れや欠け、マウスピース破損の緩和
- 発達した咬筋の弛緩(いわゆる小顔効果)
- 歯ぎしりが原因で進行する歯周病の緩和
- ガミースマイルの改善
- 口元の梅干しシワの改善
歯科で行うボツリヌス療法のデメリット
- 咬筋部の皮膚に注射を行うため、内出血や腫れの出ることがありますが、数日で解消することが殆どです。
- 硬いものがかみにくくなったり、顎が疲れる感じが出ることがあります。数か月してボツリヌスの薬効が弱くなれば自然に
改善します。 - 効果が広範囲に表れてしまった場合、表情がこわばることがあります。こちらも数か月してボツリヌスの薬効が消えるとともに改善します。
- ごくまれにアレルギー反応を生じることが報告されています。
ボツリヌス療法の治療の流れ
①問診・触診・視診
症状によっては、施術前に歯科治療を必要とする場合もあります。
②施術
当該筋肉にボツリヌス製剤を注射します。数分で終わります。
当日の施術後の注意としては、
・激しい運動はしない
・長湯やサウナを控える
・多量の飲酒をしない(晩酌程度でしたら問題ありません)
・注射した部位を強く揉まない
上記のことに気をつけていただければ、直後からのお食事も全く問題ありません。
③1~2ヶ月後のチェック
効果が十分に出ているか、左右のバランスが取れているかなどを確認し、必要があれば追加で注射をします。
④半年〜1年後のチェック
状態を確認して、再治療が必要か検討します。
患者様によっては、1回の治療で長期的に効果が出る場合もあります。
ボツリヌス療法の持続時間
ボツリヌス注射後は通常2~3日後から効果が現れ、1~2週前後で安定しピークに達します。
その後徐々に効果が薄れ、個人差はありますが4~6カ月ほどで効果がなくなります。そのため効果を継続させたい方は3~5カ月間隔で注射を行います。
一方で、持続効果に限りがあるため、万が一薬が効きすぎた場合でも時間がたてば元の状態に戻るという安心感があります。
また注射を継続する場合でも、段々と注射間隔が長くなる、もしくは注射を打つ必要がなくなる場合もありますので、
一生打ち続けなければいけないというわけではありません。
ボツリヌス療法を受けられない方
- 全身性の神経筋接合部の障害(重症筋無力症、筋萎縮性側索硬化症など)をお持ちの方
- 妊婦、授乳婦
- 妊娠を望んでいる方が受ける場合は、女性は月経2回を経過するまで避妊、男性は3ヶ月の避妊が必要です。
- 筋弛緩薬を服用中の患者さまはご相談ください。